We always think of exhibition.
展示設計をするにあたって考えること。
ここでは「作品集:ZINE」について考えています。
展示をするにあたり、作品集はマストアイテムではありません。無くてもいいのですが、美術館展示に図録があるように、ギャラリー展示に何かしら購入できる作品集があっても良いと思っています。作品それ自体を購入するのが最も嬉しく、その点こそ美術館とは違うギャラリーらしさでもありますが、やはり金額的に購入して帰るのは難しい場合も多くあります。
何よりギャラリーでの展示は見せ方にもよりますが、一般的には30点〜40点ほど、充実していても50〜60点が展示の数の限界です。一方写真集の場合は80点〜120点ほどの写真を作品を見せることができます。それも一連の流れを持ったストーリィとして見せることが出来ます。それこそが展示において作品集を作る意味だと思います。30点で表現できる展示と100点で物語をつくる作品集、この2つは決して相反する要素ではありません。
個展にとっての作品集は「売り物」以上に「作品を考える機会」だと思います
例えば写真展の題名を「雨上がり」とすれば、「天気」の作品という以上に、何か「物語」がありそうです。この場合、実は作家は雨上がりの風景を写しながら「前向きになった自分」を表現しようとしているかもしれません。この作品の展示を仮に30枚としたら果たして何も言葉を添えずに「雨上がりという一言」と「30枚の写真」で伝えられるでしょうか。「雨上がりって?」と聞かれて答えを明確に答えられるでしょうか。そのためにも一言と30枚ではなく、100枚の写真集と時に文章で作品集に纏めるのは自分の作品を顧みる上で良い機会なのだと思います。
写真集かジンか
Photobook or Zine
大小あれど「作品を考える機会」は同じと私は考えています。BTGでは作家さんのZINE制作をご協力したいと思っています
一時期こそZINEが日本でももてはやされたように流行りました。今では少し落ち着いて、逆に流行が過ぎて少し時代遅れのようにも感じますが、「作品を考える機会」という価値は変わりません。展示をしようと思い至ったシリーズを突き詰めて向き合う良いきっかけになると思っています。こう書いて来ましたが、ZINEと写真集はどちらも同じ印刷物の作品集にあたります。違いはおそらく綴じ方くらいです。写真集はハードカバーで無線綴じ、ZINEはソフトで中綴じ。どちらも立派な作品集ですので、こちらの自費出版についてを合わせてご覧下さい。